結婚式の引き出物にはお菓子や器などのほかに「縁起物」が含まれているのはご存じでしょうか。通常、結婚式に招待したお客様には引き出物を渡しますよね。結婚式に参加されたことのある人は、必ず何かしら袋に入ったものをテーブルとかにおいてあります。引き出物は新郎新婦から結婚式に招待したお客様に対して贈る贈り物なのですが、そんな引き出物の中身は、メインの「引き出物(記念品)」のほかに、「引き菓子」と、3品目に「縁起物」を入れることが、引き出物の風習です。

縁起物とは

では、縁起物とは、具体的にどういうものがあるのでしょうか。縁起物というのは、縁起がいいもののことを言いますが、通常結婚式で縁起物といわれるものとしては、
・かつお節
・梅干し
・昆布
・うどん
・赤飯
・紅茶
と言われています。かつお節は切り口が松の木の年輪に似ているので、松魚節という別名があり、松と言う木は日本で幸せの象徴とされています。それに加えてかつお節は、鰹の身の真ん中から作られるのですが、その際切り分けた身の背中の部分を「雄節(おぶし)」、お腹の部分を「雌節(めぶし)」といいます。この雄節と雌節がきれいにぴったりと合う姿を「夫婦円満」の象徴としておめでたいものとしてかつお節が縁起物として贈られるようになりました。
梅干しは、古くから健康食品の一つとして大変重宝されていて、「梅干一粒医者いらず」という言葉もあるほどです。さらに梅の花は春を告げる花として、花の中でも最も早く美しい姿を私たちに見せてくれるという強力な生命力の象徴として、長寿祈願の縁起物ととして人気があります。
昆布は、古くは「広布(ひろめ)」と呼ばれていて、お披露目という言葉の昆布の「広布」から来ています。広布は広めるということにも通じているので、結婚という晴れの席で昆布を配るという文化は大切にされています。あとは、こんぶという読みが「よろこぶ」にかけることが出来るということもあり、お祝い事には必要不可欠なものとされています。
うどんは、おそばなどの他の麺とくらべると長くて太いということもあり、長寿を祈る縁起物として大切にされてきましたが、結婚式の場合は夫婦のきずなをうどんのように長く太いものにという願いをこめて贈られるということになっています。
赤飯はお祝い事とかによく使われますよね。よく赤飯を炊いてお祝いするという言葉があります。これは古来赤という色が災いを避けて福をもたらす力があると考えられていて、赤いお米を神様にお供えすることで邪気を払う厄除けのという意味がありました。現代は赤いお米はもちろん栽培されていませんが、冒頭でも少し書きましたように、赤飯は開運をもたらすとされている食べ物としてやはり人気があります。そして何よりもおいしいですよね。それも人気の秘密です。
紅茶も赤飯と同じように赤という色はラッキーカラーということもあり、結婚式の縁起物として人気があります。また、紅茶を「幸茶」として表記することで、新郎新婦の幸せをおすそ分けするという意味もあります。また、紅茶もとてもおいしいので、こちらも喜ばれる一品です。

引き出物に縁起物が加えられる理由

引き出物に縁起物を加える理由としては、引き出物がメインと引菓子だけですと、結婚式に招待したお客様に贈る引き出物の数は2品目になりますよね。結婚式のマナーとして偶数は使わないようにするマナーがあります。つまり、偶数ですと割り切れてしまうので、「割れる」とか「切れる」というのは、「別れる」ということが連想されるため、結婚式では使ってはいけないNGワードです。そのため、縁起物を加えることで3品目になり、それが結果として奇数ということになるので、割り切れない奇数で贈るというのが引き出物のマナーとなっています。なお、地域や地方によっては5品目であったり、7品目であったりします。